ファミレスにて

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 前髪を垂らした女性は不思議そうに尋ねた。 「何でいちいち出るの。あんたなら着信拒否できることくらい知ってるでしょ?」 「そのたびに、番号が違うんです」 「あ、ああ…なるほどね」  再び携帯電話が振動するとメリーは「ひっ!」という叫び声と共に、携帯電話から身を引いた。どうやら、自分自身が電話の妖怪のため、電源を切ることができないようだ。  そのあどけない視線がそっと後ろに向くと、店の裏手からメリーを眺める肥えた中年男と目があった。その目は飢えたオオカミのようにメリーに向けられる。  彼女は小声で言った。 「のっぺらぼうさん。今日は相談に乗ってくれてありがとう。とにかく…早いうちに答えを出したいと思います」 「善は急げとはいうけど、急いてはことを仕損じるからね」  メリーは飲食代を置いて速やかに立ち去った。  のっぺらぼうはコーヒーカップを眺め、そして囁いた。 「私が懲らしめてもいいのだけど、あれはあくまでメリーの獲物だもんね」
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