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昨夜、私は彼に想いを告げた。
高校生の頃、ずっと片想いしてたんだよ、と。こうして高谷くんの隣で花火を見る日が来るなんて、あの頃じゃとても考えられないなぁ。
そう言うと、彼は驚いて、そのまま黙り込んでしまった。
「あ、でも、昔の話だから。ほんと。気にしないで」
ごまかしたけど、なんだか変な空気は、おやすみを言って別れるまでまとわりついた。
おかしな感じに伝わっちゃったな、と、私は少し後悔していた。
別に何を期待したわけでもない。
ただあの頃を懐かしく思い出して、本当のことを伝えたくなっただけ。
あれから七年が経った。私はいくつかの恋をしたし、彼のことをずっと好きだったわけではない。もちろん今も。
それでも、あの頃強く惹かれた彼の素朴で優しい眼差しが、今も変わらずそこにあったことは、少なからず私の胸に当時のままならない恋心をきゅうと蘇らせた。
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