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「俺の友達が一瀬さんのこと好きだったんだ」
「え……」
「そいつ、結局告白とかしなかったし、君は全然知らないと思うけど、俺、それを聞いてたから、何も言えなくて――そのまま卒業になって……」
高谷くんの友達? 誰だろう? 思い返すも心当たりがない。だってひたすら彼だけに夢中だったのだ。
私はいよいよ力が入らなくなり、ほとんど彼の腕に体重を預けてしまっている。
「昨日一緒に花火観たのも、ただ偶然会ったからじゃなくて……てか一瀬さんのネット予約受けたの、俺だし……」
そう、私は彼の実家の旅館に、花火大会の一泊だけ予約を入れていた。
「ウチに来てくれるって知って、声掛けようって待ってたんだ。俺を好きでいてくれたって聞いて、すごく嬉しかった。もし今も可能性があるなら……って言いたかったけど、でも君はまたいなくなるし、俺はここを離れられないし、ずっと迷ってて……、でもせっかく会えたから、やっぱり、ちゃんと伝えたい」
信じられない。
どうしよう。
目のくらむような彼の示唆的な言葉が、期待値をぐんぐんと上げて私の顔をどこまでも熱くする。
告白される寸前の、呼吸が詰まりそうな緊張。
激しく音を立てる心臓が破裂しそうになって、私はギュッと目を閉じた。
「俺も高校生の時、一瀬さんが好きだった。久しぶりに会って、やっぱり好きだと思った。今さらかもしれないけど、側にいられないけど、それでも俺とつき合って欲しい――」
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