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僕がその日の診察を終え寛いでいると突然電話が鳴った。それは僕の同期、脳外科の梶原徹からだった。
「達也。診察をお願い出来ないか? 同僚が眼の病気みたいなんだ」
「いいけど、普通に診察に来ればいいじゃないか?」
「同僚の飯島先生は脳外科のエースでね。手術は一年先まで予約で一杯なんだ。だから特別扱い出来ないかと・・」
僕は飯島先生の噂を知っていた。脳動脈瘤の手術で日本一の腕という話だった。
「僕に声を掛けるということは『網膜色素変性症』なのかい?」
「多分そうだ。夜盲が始まっている。暗がりでの視力が相当落ちているみたいだ」
「分かった。今から僕の診察室に直接来て貰っていいぞ」
「そうか、ありがとう。直ぐに行かせるよ」
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