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食事も終わり響也は仕事へ行く準備をする。
「メイクは職場でするから…
準備終わりました!」
「良かったら職場まで送る…」
「良いんですか?」
「仕事夜だから昼間は暇…」
「お願いします!」
響也が嬉しそうに笑うと悠も照れたように笑う。
しかし響也は思っていた。
(もう悠さんに会えないのかな…)
男である響也がメイドをしている店にもう来ないだろう。
送って貰ったら二度と会えない。
胸が痛む。
そこでようやく理解した。
(男の人しか好きにならないって決めてた…
でも悠さんの事が…)
響也は悠に抱き付いた。
「足滑った?
大丈夫?」
「好き…」
「何か見た?
何見て…」
「悠さんが好き!」
「………
え?」
思考回路が一瞬停止する。
そして言われた事を理解すると一瞬で顔が真っ赤になった。
「なななななな何を!?」
「ずっと気になってました…
優しい悠さんの事が…」
「本当に?」
「好きって気付いたのは今ですけど…」
さらにきつく抱き締める。
「悠さん…
出来たら返事を…」
「好きだよ…
でも…男みたいだし…
し、仕事以外じゃ口下手だし…」
響也は悠の唇に指を押し当てる。
「私も女みたいでしょ?
それに私はそのままの悠さんが好きなんです…
優しい優しい悠さんが…」
悠は響也の左手を持ち薬指にキスする。
これに響也の方も真っ赤になる。
「好きです…
響也さんが大好き…
こ、こんな自分で良ければ…
その…」
「はい!」
嬉しそうに再度抱き付く響也。
甘い雰囲気が漂う中悠は時計を見た。
予定の時間が過ぎている。
「響也さん!
仕事!」
「そうでした!」
二人は手を取り玄関を飛び出す。
悠のマンションから響也の職場までは近い。
しっかり手を繋いだまま二人は街を駆け抜けた。
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