入学

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ガタゴトと電車に揺られる。窓の景色は綺麗だ 「ねぇねぇ、君はなんて言う名前なの?」 「…俺?俺はね、ローブって言うんだ。よろしく」 「俺…?女の子なのに変なの!」 「あー…俺男なんだ」 「えー?そうは見えない!…あ!私の名前はキュル・マミワ。よろしくね!」 よろしく、そう応えると彼女は横に座った。 「男の子だとしたら、なんでスカート履いてるの?」 「男の子より女の子の方が有利だからだよ」 ふーんと言って彼女…キュルはお菓子の箱を開け始める。…そんな物を食べる気だろうか。 「これ、食べる?」 「それ、なに?」 「これね、ミュークチョコ。食べると音楽が流れるんだよ!」 ぱくりと口に含むと彼女の喉からシャラシャラとした音が流れ始めた。魔法とは本当にすごいなぁ… 「へー、俺にもちょうだい」 いいよ!とチョコレートを貰うと電車がゆっくりとし始めた。そろそろ着くのだろうか。 僕達はカリビアロー学園に向かっている。 魔法使いを育てる学園らしく、魔法使いの素質があったり、希望がある者には手紙が送られてきたりする。 僕は素質がある一人だった。母と父が大喜びで僕をカリピアロー学園に送ったのだ。 ガタンっと止まると駅に着いたようで、人が立っていた。女の人だ。 「ようこそ!カリピアロー学園前へ!」 大袈裟すぎるほど大きな声でそう発すると僕達はキラキラとしたシャボン玉に包まれた。綺麗だ。そう思った次の瞬間俺達は大きな門の前に立っていた。 キュルはキラキラと目を光らせている。皆が一斉に門に走っていった。俺もその一人だ。 「カリピアロー学園に入学おめでとうございます!」 俺達が門を通るとさっき外から見ていた景色とは全く違った景色だった。沢山の人が飛び回り、キラキラと光が飛び散っている。空に魅入っていると、傍から黒い影が出てきた。男の人だ。真っ黒なところから出てきた人は、全体的に薄い紫色なのに闇に交じっていた。白色が強いのに、なぜか真っ黒なのだ。 「…こちらで規則などの説明を致します。こちらへどうぞ」 そう言われて俺達は男についていった。 俺は一番先頭だった。 前の男が怖いのだろう。闇の中から出てきた男が。 見た目は上から下まで薄い紫色。白が強く見えるのに影の中に居ても全く違和感がなかった。顔もよく見てみると不幸せ感満載で、目の下の隈がよく際立つ白い肌だった。いかにも不健康そうだ。 つかつかと歩いていくので俺達の小さな足ではぴょこぴょこと跳ねてついて行くのに必死で、いきなり止まった男の背中に突撃してしまった。 男は嫌な顔1つせずにこちらを振り向いた。 「男子はこちらに、女子はこちらです」 右と左を指して指示をした男はスタスタと歩いていった。 なんなのだろう、あの男は。 そう思いながらも渋々と男子の席、と指示された所に座った。
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