案内

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まさか本当にくじ引きだとは思わなかった。 座っている机に先生が来て、袋を渡して歩くのだ。 そして、俺の場所に来た。手を入れろと絆されて袋の中にを入れると紙が当たる音がする。 紙を手にして見てみるとクラスの名前が書いているらしい。 まさかその場その場なんて… 恐る恐る覗いてみる。ガルガがいい、何故かわからないけれど、あの先生が気に入った。 ぷるぷると紙が揺れる。カサリと音が鳴ると中の文字が見えた。 「…ガルガだ」 嬉しい、よかった。友達なんていくらでも作れる、とりあえず先生が優先だった。 俺達のクラスは最後の方だったようでもう先生の場所に並んでいる生徒がちらほらといた。 -----------ガルガの先生を除いて。 やはり印象が怖かったからか人が寄ってこないようだ。俺はさっさと急いで先生の真ん前を陣取った。 「先生、よろしくお願いします」 「…貴方はローブ・ガリンジャーですね、よろしくお願いします」 名前を知っていてくれた。それだけで嬉しくて舞踊ってしまいそうだった。何故だろう、気持ちが分からない。 「ローブ!!」 後ろからごつりと頭突きをされる。痛い。 「やったやった!一緒だね!」 さっきのキュルだ。チョコレートを貰った子。 「やったね」 ブンブンと手を振って喜びを表しているとスーヴィ先生がキュルの名前を呼んだ。 「…キュル・マミワ、周りの人の迷惑を考えてみなさい。このように人が沢山いるところで頭突きをしてはいけません」 「うぁっ…ごめんなさい」 キュルは少し怖いようでびくりと身体をびくつかせたあとしゅんとしていた。俺には分からない。 ここでキュルの姿がしっかりと見れた。外は真っ暗で見れなかったし、電車では彼女はブランケットを膝掛けていた。 髪の毛は水色でショートカット。パッツンな前髪が印象的だ。服装はセーラー服。白と青色が印象的なセーラー服に白に青のラインの靴下を履いている。靴はローファーだ。 「キュル、君セーラー服なんだね」 「あぁ、うん!制服自由でしょ?ママが可愛いの買ってきてくれたんだ〜!」 にこにこと笑う彼女の顔は可愛らしい少女だ。 「…人が集まってきますね、二列に並んでください」 はーい、と返事する。二列だから俺とキュルは隣同士になれた。キュルは少し怖がっているようだが… 俺達が並んだから少しは怖くなくなったのだろうか。四分の一の生徒が集まってきた。 「皆さん、今から教室へ向かいます。お喋りをせずに着いてきてください」 またもやカツカツと歩いていってしまった。 「ね〜…先生怖いね…」 「…そうかな?」 俺は全然そう思わないよ、と言うとキュルはびっくりしたような顔をした。 「えぇ!やっぱりローブ変だよ…」 知ってる。さっきも変な目で見られた。 でも、女子でいる方が何かと楽ちんだ。たまにしか会わない人は本当に女子だと思って重い荷物を持たしてこない人が多い。体罰もないしね。 「とりあえず急ごう。俺たちのせいで皆怒られたら困るし」 「そうだね!」 パタパタと急いで先生の後ろをついて行った。
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