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由梨はまだほんのりと明るくなったばかりの空を見上げた。
「由梨、会いたいなあ。どこにいるの?」
朝5時に一本の電話が入った。太一だった。
昨夜は会社の飲み会だったはずだ。
それなのに、太一は家に帰ってこない。
由梨は心配していた。
由梨は太一のことを夜中の2時まで起きていた。ソファーで今もうとうとしていたところだった。
太一と由梨の飲む時の約束。それは必ず帰ってくることだった。
「いま、どこにいるの?」
由梨は太一に聞く。
「ゴニョゴニョ。暑い……今日はなあ…いっぱい飲んで…」
「わかったって、だから……どこにいるの」
由梨はキレそうになる。
11月の寒空のなか、太一はどうやら外にいて……眠くなって歩けないらしい。暑いと言ってるから、路上で寝ているかもしれない。
由梨は嫌な予感がした。
「橋の上は涼しいなあ。あー眠い……」
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