約束

1/6
15人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ
由梨はまだほんのりと明るくなったばかりの空を見上げた。 「由梨、会いたいなあ。どこにいるの?」 朝5時に一本の電話が入った。太一だった。 昨夜は会社の飲み会だったはずだ。 それなのに、太一は家に帰ってこない。 由梨は心配していた。 由梨は太一のことを夜中の2時まで起きていた。ソファーで今もうとうとしていたところだった。 太一と由梨の飲む時の約束。それは必ず帰ってくることだった。 「いま、どこにいるの?」 由梨は太一に聞く。 「ゴニョゴニョ。暑い……今日はなあ…いっぱい飲んで…」 「わかったって、だから……どこにいるの」 由梨はキレそうになる。 11月の寒空のなか、太一はどうやら外にいて……眠くなって歩けないらしい。暑いと言ってるから、路上で寝ているかもしれない。 由梨は嫌な予感がした。 「橋の上は涼しいなあ。あー眠い……」
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!