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部屋が大体片付いたのは夕方5時頃だ。
今日は仕事を休みにして参加できる人たちだけで引っ越し作業を手伝ったのだが、参加者は役に立たなかった彩羽もいれて奏多、朱里、葉月といういつものメンバーだった。
それでも想像していたより家具が揃ったことに架音と美乃里は喜んでいた。ほとんどはリサイクルショップで購入したものだが、まだまだ使えそうだし経費削減にもなる。こういった買い物を通して美織の金銭感覚も養っていきたいと思っていた。
そんな折り、再び野本が引っ越し作業中の葉月のもとを訪れた。
自宅で仕事をしていたマリアにこの場所を聞いたらしい。
野本は葉月に近づいてくると、「少しお話しできますか」と、訊いてきた。
「別に構いませんけど」
葉月は作業を抜けて野本と共に近所の公園へやって来た。
ブランコに腰かけた野本の方から話を切り出した。
葉月もその隣りに腰かける。
「十朱の罪は軽くなりそうです。実際に暴力を振るったのは小島と岡島の二人で、コンビニの駐車場のカメラに写っていた十朱の映像をさらに解析すると、十朱は怯えきった表情を浮かべていました。本人もその事を認め、小島に対して逆らうことができなかったと主張を繰り返しています」
「そうですか…」
答えながらも葉月の表情は浮かない。
失った命は戻ってこないことを知っているからだ。
今さらいくら後悔しようと美由は生き返らない。
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