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野本は葉月のそんな決意を感じ取ったからか、引っ越し風景を見てうっすらと微笑んだ。
「まさかこんな日が来るなんて思いませんでしたね。あの3人が一緒に住む日が来るなんて」
「まだ心配ですけど、いつまでも家に住ませとくわけにいかないんで。しばらく会社で働かせますけど、そのあとの事は本人たちに任せます」
「そうですか。まあ…あなたなら任せても大丈夫そうですね」
そう言ってまた優しく微笑むと、野本は一礼して去って行った。
その後ろ姿を見送りながら、葉月は深いため息を吐く。
小松美由の遺体も見つかり、赤ちゃんの遺骨とともに実家へ帰ることができた。
美由を殺害した犯人やその経緯もはっきりしたし、この事件は解決したはずだが、野本はこれから十朱たちの身に起きた事件を調べなくてはいけない。
もとはと言えば、その男たちが乱暴なことをしなければ人が二人も死ぬ事は無かったのだ。
誰かの行いが誰かの人生を狂わせる。
たった一人の過ちが多くの人間の人生を変える。
いつになったら人間は学ぶのだろうか……。
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