447人が本棚に入れています
本棚に追加
/278ページ
深夜の繁華街で男たちは缶ビール片手に駐車場に座りこみ、大きな声で話していた。
通り過ぎる人々は速足で、男たちと目が合わないように下を向いて通り過ぎる。
そのうち終電の時間も過ぎて、男たちは誰からともなく立ち上がった。
「つまんねーなぁ。どの店も出禁食らっちまってよぉ、遊び場がなくなったじゃねーか!」
一人の男が大声を上げながら自分の車に歩み寄り、窓を強く叩いた。
「兄貴が言い出した事だろ?俺は止めたんだからな?ヤルのはいいけど、相手を選ばないと。サツに絡まれると面倒なんっすよ。それに、一番モテるカズヤが事故った今は、簡単に女は寄ってこないって!」
チームの最年少らしい幼い顔をした青年が言う。
「お前は顔見ただけでどういうヤツだか分かるのかよ?っていうか、ヤッた顔なんていちいち覚えてねーよ。酒も入ってるしな。だからこそ、美人だろうがブスだろうが相手にできるんだよ。
でもまあ確かに…カズヤがいないのは痛いよなぁ……。あいつ、この中で一番凶悪なのに顔だけはいいからな!」
ケラケラと笑いながらそう言った男の背後から、ひょっこりと別の顔が覗き込んだ。
黒ぶちのメガネをかけ、Tシャツにパーカーを羽織ったラフな格好、身長は高いが細身で弱そうな男だった。
突然現れた見慣れない顔に気付いた周囲のメンバーが驚いて息をのんだ。
最初のコメントを投稿しよう!