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「ねえ。この動画、警察に送ったらどうなると思う?」
関わりたくないとは思っていても、質問されると声の方に視線を向けてしまう。
メガネ男子は、自分のスマホの画面を男たちの方へ向けている。
画面には数ヵ月前に男たちが性的暴行を加えた時の岡島と小島と十朱の3人の映像が流れていた。
3人は男たちに乱暴され、必死に抵抗しているが、逃げられなくて泣き叫んでいるようだった。
しかしその動画を見せられても、男たちにははっきりと女性たちの顔までは思い出せなかったようだ。
たった一度の行きずりの女相手じゃ顔を記憶するのは難しい。しかし今回は証拠となる映像が残っている。つまり、男たちには言い訳ができない。
「なんで…お前がその映像を……?」
男が訊くと、メガネ男子はスマートフォンをポケットに仕舞った。
「事故に遭ったカズヤ君ってさ、まだ生きてるの?」
そう訊かれて、男たちはまた顔を見合わせる。彼の言いたいことがよく理解できなかったからだ。そしてメガネ男子を睨むような仕草を見せた。
「いや、僕は別に、お兄さん方が悪いとは思ってないよ。だって、この女の人たちも最初は楽しく一緒にお酒飲んでた訳でしょ?気を持たせるような事をした女も悪いって僕も思うからさ。いいと思うんだ」
自分たちの犯罪を容認するような意見を述べるメガネ男子を見て、更に何を言いたのか分からなくなった。
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