あの頃と何も変わらずに

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 俺たちが付き合い始めたのは、今から2年前、大学3年の春休みだった。  上京し1人暮らしをしながら大学に通っていた俺は、その日サークルの飲み会帰りに美咲と並んで歩いていた。彼女をアパートに送る為だ。  道中、酔いを醒まそうと橋の上で二人で並んで夜空を眺める。冷えた風が、とても心地良かった。 「俺……美咲のこと結構好きなんだけど」 「――はぁ?」  桟橋の手すりに背を預け、東京の狭い空を仰ぎながら軽い気持ちで口にした俺の言葉に、彼女は怪訝そうに呟いた。視線を横に下ろせば、手すりにもたれた君がこちらをじっと見上げている。ぼんやりとした街灯の光に照らされた美咲の頬は、酒のせいだろうか、どこか高揚しているように見えた。けれどその口は、いつものように不敵に笑っている。 「答えわかっててそんなこと言う? もしかして酔ってるのかな?」  手すりに頬杖をつき、からかうように笑う君。それがなんとも釈に感じて、俺も唇の端を上げた。
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