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「俺さ、自分で言うのも何だけど、こう見えて付き合ったら一途だよ。それに、さっきの言葉は嘘じゃない」
「……そう言われても」
「じゃあ俺のこと嫌い?」
「卑怯な聞き方しないでよ」
「あ――もしかしてあれ? 実は地元に彼氏いるとか」
「しつこいなぁ」
「じゃあ何だよ、はっきり言えよ」
「なら言うけど。……和樹のことは好きだよ、でも恋愛感情じゃない」
「それでもいいって言ったら? 付き合ったら変わるかもよ」
「自信過剰すぎ。よくそんなこと口に出来るね、漫画の読みすぎじゃない?」
「まぁ。……確かに少女漫画なら、昔姉ちゃんに読まされたよ。少コミとかマーガレットとか」
「ええ、マジ……?」
「マジマジ」
美咲は、ふーんと呟いて、微かに口角を上げた。嫌な笑みだ。彼女はその笑顔のまま、再び俺をじっと見つめる。
「いいよ」
「……何が」
「付き合っても」
「……マジ?」
聞き返せば、彼女は笑顔のまま頷いた。
「言っとくけど、私相当わがままだし性格悪いし、そっちの方が先に根を上げると思うけど」
「心配するなって。俺も性格悪いし」
「否定しないあたり、本当いい性格してるよね。あと、浮気だけは絶対しないで」
「しないしない! されたことはあるけど俺は絶対しない!」
「――うん」
そうして、俺たちは付き合いだしたんだ。
そしてそれから、あっという間に2年の月日が流れた。
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