やっぱり君はいつまでも

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 社会人1年目が終わろうとしていた3月末の土曜の夜、俺は居酒屋に向かっていた。東京で就職した大学の奴らと、飲もうということになったのだ。 「おー、和樹! 久しぶり、こっち座れよ!」  掘りごたつの半個室へ入っていけば、他の皆はもう揃っていた。サークル仲間だった純也の隣に座り、ビールで乾杯する。すると、すぐに尋ねられた。 「そいやぁお前、相原とまだ続いてる?」 「――まぁ」  相原とは美咲のことだ。  俺は東京で、そして彼女は卒業と同時に地元へ帰って就職していた。俺と美咲が付き合いだしてもう2年。あんな始まり方だったけど、俺たちは何だかんだ今でも遠距離で付き合い続けている。けれど最近はお互い忙しく、電話もラインもあまり出来ていない。 「相原って地元どこだっけ。遠距離だろ? 辛くね?」 「長野。まぁ寂しくないわけじゃないけど、仕事忙しすぎて正直そこまで」 「えー、マジかよ。俺だったら堪えられねぇわ。最後に会ったのいつ?」 「お前、見かけによらず女々しいからな。――年末年始」 「別に女々しくなんか……って、はぁあ!? もう4ヶ月経つぞ、大丈夫かよそれ!」  純也の呆れたような視線が俺に向けられる。 「相原、何も言わねぇの?」 「特には。っていうか、なんでいきなり美咲の話? お前そんなに接点あったっけ?」  机に並んだ適当なつまみを口に運びながら問えば、純也は一年前と変わらない弾けるような笑顔を見せた。 「おーおー、よくぞ聞いてくれました! 実は俺今、由香と付き合ってんだよね」 「由香って、笹沢?」 「そう、笹沢由香。ほら、由香って相原と仲良かっただろ。今でも連絡取り合ってるらしくて、それで時々相原の話聞くんだよ」 「ふーん」 「って、ノリ悪ぃなぁ! お前本当に上手くやってんだよな? ちゃんと話聞いてやってる? 今大変なんだろ、彼女」 「――は?」
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