やっぱり君はいつまでも

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 俺はつい、箸を止めた。純也の告げた、俺の知らない美咲の話に。 「母子家庭だってのに、母親出てったらしいじゃん。大変だよなー」  ――何だそれ。聞いてない。  一瞬で頭に血が上るのを感じた。――いや、逆か?血が引いたのか?  混乱する頭でそんなことを考えながら、冷静を装って聞き返す。 「それ、いつのこと」 「確か一週間前、って……お前まさか」 「……そのまさかだよ」  俺の言葉に、純也の瞳が見開かれた。マジかよ、とその口が呟く。  俺は慌ててスマホを取り出しラインを開いた。美咲に電話をかけようとして――手を止める。 「――はは、やべ。俺、一週間美咲と連絡取ってねぇわ」 「おいおい……」 「ちょっとかけてくる」  席を立ち、店の外に出て電話をかけた。けれど、出ない。何度かけても。  俺の中で、焦りと不安が大きくなっていく。  そんな俺を心配してくれたのか、純也が笹沢に電話をしてくれた。でも、最後に連絡を取ったのが一週間前で、それ以降のことはわからないとのことだった。   「俺、行ってくる」 「は? どこに」 「長野」 「はぁ? 今から?」 「あぁ」  スマホを睨むような俺の視線に気づいたのか、純也はどこか俺をなだめるような顔をする。 「いや、でも、取り敢えず明日にした方が。もう遅いし……ほら、相原だってただ寝てるだけかもしれねぇだろ。そもそも今からじゃ相原んちまで辿りつけないって」 「家までは無理でも、長野までは行けるだろ」  俺はそれだけ言い残し、駆け出した。背中から純也の声が聞こえたが、一切無視して。
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