第1章 食いしん坊の幽霊 ①

18/18
943人が本棚に入れています
本棚に追加
/287ページ
 神様を居候させて数日後には、彼が指し示した場所について試掘の許可を取った。何箇所か調査してみると、先に見つかった遺跡と繋がりそうな建造物の跡が出土した。 (こいつは驚いた……)  俺はさらに周辺の調査と分析を重ね、神様の協力もあって数ヶ月の間に遺跡の大まかな年代と全体の構造を推測する事ができた。  急に勘が冴え出した俺に対して、チームのメンバーも舌を巻いていた。  その間も神様は、たまに調査のアドバイスをする他は、出会った時と変わらずダラダラと我が家で過ごしていた。  本調査の届出を提出した一年後には行政から発掘許可が降り、俺達は本格的に発掘調査をスタートした。  並行して神様の社についても調べてみたが、かなり古い時代のものなのか、この地域の古地図や郷土史にも記録は残っていなかった。  こちらはすぐに見つけられるだろうと思っていたが、一応この道のプロの手にかかっても見つからないとは意外だった。  役に立たなければ追い出せと言っていたが、今のところ充分に役立っているし、何より俺の作る飯をこれ以上ないくらい美味そうに食ってくれる。  そういう訳で、俺はこのとんちきな同居人と二人暮らしを続けていた。
/287ページ

最初のコメントを投稿しよう!