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(護堂先生……?)
俺は彼女が何に驚いているのか分からなかったが、ふとある事に気が付いて急に冷や汗が吹き出てきた。
(しまった……西森中学校って夏也の勤務先か! 彼女は同僚……夏也と面識があるのか?)
『でも、先生って確か一人暮らしの筈じゃ……? 君、護堂先生とどういう関係なの……?』
不思議そうにこちらを見つめる彼女にどう返答したものかと焦っていると、俺はその背後に見たくなかったものを見てしまった。
通りの中ほど、それまで何も無かった空間に、突如として黒い霧が湧き出してきたのである。
(どうしてこうも次から次へと……!)
俺は鎌を持ち替えて叫んだ。
『俺の後ろに隠れろ!』
『え?』
次第に大きな手の形に固まりだした黒い霧は、こちらに向いて大きく指を広げた。
『……な、何コレ!?』
彼女も俺の視線を追って振り返り、驚きの声を上げる。その様子からすると、やはり黒い霧も見えているらしい。
俺は彼女を自分の後ろに押しやると、黒い手に向かって大鎌を薙いだ。
手は横一文字に切断されて霧散していく。
しかし、一度また霧状に戻ったそれが、再度固まりとして集まり始めた。
(再生している…!?)
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