第4章 河童の里と黒い怪物 ③

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『あら? 可愛い女の子連れてどうしたの?』  豊月が腕を組んで、からかうように笑った。サザナミは隣で困ったように微笑んでいる。 『状況は大体分かってるんだろ?』  俺は中に入ると、鎌を置いて床に座った。豊月とサザナミも拝殿内に戻って扉を閉める。神岡も恐縮しながら俺の横に座った。 『お邪魔します。あの……先程友和さんに助けていただきました、神岡美帆(かみおかみほ)と申します』  そう言って彼女は豊月達に頭を下げた。 『災難だったわね。霊感が強いと特に狙われやすいのかもしれないわ……』  豊月は顎に手を当てて考え込みながら正面に座る。  確かに、奴も手っ取り早く力を取り戻すには、霊力が高い魂を取り込んだ方が効率が良いのかもしれない。 『この弁財天で、この辺りの氏神をしているサザナミと、稲荷神社で宇迦之御魂神に使えている天狐の豊月だ』  美帆は再び深々とお辞儀をした。 『黒い霧もここまでは追って来れないらしいな』 『一応、此処は神域ですからね。それで、蓮雫さんは回復したの?』 『ああ。さっき河童の里から霊界に送り返したところだ。だが、調査の方は打ち切られた。神界は奴らだけで解決すると言ってきた』 『聞いたわ。やっぱり情報は開示して貰えなかったんでしょう?』 『……ああ』  俺は胡座をかいて頬杖をつく。美帆はあまりに浮世離れした話に目をぱちくりしていた。 『どうせ解決しなければならないなら、何故協力し合わないのだろうな。神界と霊界は不仲という訳でもないんだろう?』  俺がそう口にした途端、拝殿の扉が開いた。 『霊界の手助け等、必要無いからだ』  憮然とした表情で一ノ瀬が入って来る。その後ろから神様がひょっこりと顔を覗かせる。
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