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『思ったより広いな』
建屋に入ると、大広間に白い着物を着た人間が何百人も並んでいた。チラホラと別の色の着物もいたが、彼等は皆白い着物の者達よりガタイが良く、頭部を見るとツノを生やしていた。
『鬼……?』
『騒ぐ奴もおるじゃろうし、警備員みたいなもんかの。受付はあっちかな?』
神様は早く食堂に向かいたいらしく、受付カウンターに見えなくもない壁際の長机を指差した。長机は部屋の端から端まで少し間隔を開けて並んでおり、鬼達が並んで座っている。机の間の壁には垂幕が掛かっていたが、そこから奥へ進めるようだ。
それぞれの机には、文字が書かれた紙が、掛け軸のように垂れ下がっている。読んでみると、地名だと分かったので、自分が来た地域名が書かれた机に並べば良いのだと分かった。
俺の該当する地域名が書かれた机では、眼鏡を掛けた小柄な鬼が座って判子をついており、横に巻物を抱えた大きな鬼が立っている。その前には着物姿の人間達が列をなしていた。
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