第1章 食いしん坊の幽霊 ②

11/15
945人が本棚に入れています
本棚に追加
/287ページ
 仕方なく俺は列の最後に並んで順番を待った。前に四、五人並んでいたが、思ったより早く列は進んだ。 『次! 名前は?』  前の男が小鬼に呼ばれた。男が名前を名乗ると、隣の大鬼が巻物を探して小鬼に手渡した。  二、三質問があった後、小鬼は巻物に判を押し、男は壁に掛かった垂れ幕を捲って次の部屋に去って行った。 『次!』  呼ばれたので、小鬼の前まで進むと、机から顔を上げた小鬼が驚き、眼鏡を上げ下げしてこちらを凝視してくる。 『お前! 何だその格好は? 着物はどうした?』
/287ページ

最初のコメントを投稿しよう!