青空

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「じゃあ、お母さんは後からだから」 「おう」 そう言って校門の前で母の車と分かれる。 ここはΩだけの中学校。 Ωの為だけに作られ、親だろうがαの立ち入りは一切禁止。 βの人はΩを産ませられないので、一応の立ち入りは認められているが入る前には薬を飲むことが義務ずけられている。 ある意味βだからΩを産ませられないってのも、βにとっての屈辱だよな。 変なことに思考を飛ばしながら靴箱で靴を脱ぐ。 帰ったら捨てよう。 そう再認識するほど汚れたまま3年間を過ごしたその上履きを下に落とす。 教室に入ると窓側の1番外の自分の席に座る。 友達なんてものはいない。 当たり前だ。 たった5歳でαの番になったΩ。 幾ら事故とはいえ、そう易々と受け入れられるものでは無い。 初めは憐れみ、 次は、おぞましさ、 そして最後に恐怖。 俺の症状を知れば知るほど、周りの人間は離れていく。 自分に巻き込まれないように。 本来なら3つの性別は中学へ上がる前にようやく分かる。 検査は学校でいっせいに行われ、結果は家に通知が来る。 それによってある家は喜び、ある家は嘆き、ある家は苦笑を漏らす。 そっからαとβは普通の学校へ、Ωは、徹底的に管理された学校へと進む。 間違いは起こらないように、首を守るためのチョーカーでΩということを主張しながら、その学校に通うΩ達。 管理されてるのは学校の中だけ、外で間違いが起こることなんて多々ある。 それでも、そんな危険を侵してでも、Ωは同じ学校に通い、同じような内容を学ばなければならいない。 そうしてようやく高校生になると自分の行きたいところへ進める。 一般教養は当たり前に教えて貰えるので、Ωだから頭が悪いという偏見は、とっくの昔に無くなった。 だからといって、性別によっての差別が無い訳では無い。 そして、高校が終わり大学、就職と進む。その中で自分の番となる人物を探して、一生の愛を誓う。 それが常識。 なのに俺は、若干5歳で、5歳の男の子とつがった。 異常な子供。 そう呼ばれるに値する子供だ。 「はーい、席に着いてー」 可愛らしい声で先生が入ってくる。 クリクリな目に、女子かと見間違えそうなほど細い肩と腰。 女子が羨むほど細い手足、そして短く切りそろえられた髪。 もちろんΩで、男だ。 クラスを見ても分かる通りΩは、可愛らしい見た目や細かったり小さかったりするのが多い 身長の平均も165程しかない。 そう進化した理由はよく分からない。でも、αが得する方に進んだのは間違えがない。 そのΩばかりのこの学校では俺はでかい。 178cmの身長に自然と付いた筋肉。 そういうのもあって近付きにくいのかね。
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