晴れのち曇り模様

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出会ったことの無いタイプ過ぎて戸惑う。 「あ!ごめんね! 僕はこの寮の寮母である高橋 俊。 何かが壊れたりしたら僕に言ってね!」 「はい。」 グイグイと近付いてくるその人に、上半身をそらしながら返事を返す。 単純に勢いがすごくて怖い。 なんか、無理。 「待ってね、寮長呼ぶから。」 そう言って引っ込んだ寮母を待つため壁にもたれ掛かる。 今まで閉鎖的な学校だったから知らなかったけど、俺に対してあんな反応してくれる人、いるんだ。 あんな人ばっかだったらまじて無理そうだけど、少し環境が変わるかもしれない。 そう思うと少しだけ、毎日が楽しそうだ。 ウィーン すぐ側の、外に繋がる自動ドアから音が聞こえる。 自動ドアが開いて寮生と思われる2人組が入ってくる。 「あーれ?しんにゅーせー?」 間延びした声で話しかけてきたのは金髪でピアスが舌に空いている生徒、だと思う。 や、ヤンキー。。。 ネクタイピンをネクタイではなく、胸元に付けており、白いシャツにタイが目立つ。 そして、もう1人は茶髪で面倒くさそうに反対側を向いた。 初めて体格のいいΩに会ったけど、身長は俺より小さいし、折れそうなほど細い。 「あーれー?なんで黙ってるのー?」 「お前の顔面のせいだな」 「えー、まじー? ジョックー」 ケラケラと笑いながら、金髪の方が、反対側を向いた方の背を叩く。 金髪がこっちを向くと、また全然ショックを受けてなさそうな顔でへらりと笑う。 「でもさー、おれちょータイプー」 金髪ヤンキーがグイッと顔を近づけてくる。 Ωなだけあって、ヤンキー風にしていてもめっちゃ綺麗な顔立ちだし、女子の羨む大きな目が細められてても分かる。 そんな金髪に横にいた茶髪ヤンキーの人が大きくため息をつく。 「どっからどーみてもこの寮にいるならΩだろ」 「えー?まじー?ざんねーん」 金髪ヤンキーの方が楽しそうに笑う。 「でもさー、Ω同士なら万が一もねーじゃーん?」 「おい」 「だからー、俺といっぱ」 「こらァァァァあー!!!!!」 走る音と共に怒った声がロビーに響く。 「おー、せっちゃグフッ!」 大声と共に突っ込んできた可愛らしい男子。 遠目からでも分かる小柄でふわふわ系の男子だが、今目の前で飛び蹴りをかました。 えぇー、 「いつもの事だ」 茶髪ヤンキーのフォローに頷く。 それにしても、金髪もそんなに身長高くないと言っても、さっき飛び込んできた人より身長はある、 それでも飛び蹴りを胸元に叩き込んだ技量には拍手を送りたい気分だ。
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