曇のち雨

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するりと服の上から撫でられるだけでビクビクと体が反応する。 「おねがい、だか、ら、やめて。」 流れた涙を天峰が舐める。 「いい、よ」 耳元で呟かれ体が反応する。 天峰の手が俺の中心から離れると、俺の頭の中に理性が流れ込んでくる。 「せっかく逢えたのに、残念」 天峰が笑ったのが分かる。 違う。 こんなの、 天峰じゃない。 みさじゃない。 俺が、5歳の頃、番を解除しなくてもいいと言ったのは、天峰だったから。 少なからず、好意を持っていたからなのに、 成長した天峰は、 俺は、 好きじゃない。 「....して、」 「なに?」 「番を、解除、して、ください。」 うなじを手で触りながら、両腕で顔を隠すようにして呟く。 こんな、天峰なんか、望んでない。 ガっ!!! 俺の背中を預けていた木が揺れる 驚いて顔を上げるとさっきよりも強い力で顎を掴まれ、無理やり立たされる。 い、たい。 「番を、なんて?」 怖い。 Ωとαだから、とかじゃなくて、 人間としての本能が恐怖を訴えている。 「番を、解除、して」 怖い。 でも、 言わなきゃ
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