<第二十一話・解>

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416:ミスター名無しさん@振り向いたらヤツがいるらしい。 やっば、リアル怪異初めて見た。面白いわこれ 417:ミスター名無しさん@振り向いたらヤツがいるらしい。 むしろこれが悪霊の仕業じゃなくて高度なハッカーの仕業とかならそれもそれで面白い、やり方教えて欲しい 418:ミスター名無しさん@振り向いたらヤツがいるらしい。 魚拓しましたん 419:ミスター名無しさん@振り向いたらヤツがいるらしい。 なんか危機感ないやつら沸いてるんですけど 420:ミスター名無しさん@振り向いたらヤツがいるらしい。 ほんとに危機感バリバリな奴らはすぐにスレ閉じて逃げてるだろ…… 421:ミスター名無しさん@振り向いたらヤツがいるらしい。 釣りって可能性はある? 422:ミスター名無しさん@振り向いたらヤツがいるらしい。 >>422 どうやって釣りすんだよこれ、技術だけで可能なのか? 423:ミスター名無しさん@振り向いたらヤツがいるらしい。 みんなにお知らせ。このスレのアドレスを友人に教えてみたところ、新規で入れなくなってる模様 そのURLは存在しませんとか出るらしい 424:ミスター名無しさん@振り向いたらヤツがいるらしい。 え、俺ら見れてるし書き込みできてんのに? 425:ミスター名無しさん@振り向いたらヤツがいるらしい。 やっば面白い、ツニッターで拡散しよ 426:ミスター名無しさん@振り向いたらヤツがいるらしい。 >>425 馬鹿やめろ、本当にやばい怪異だったらどーすんだ!!! 427:ミスター名無しさん@振り向いたらヤツがいるらしい。 ううううう嫌な予感しかしない……怖い……  ***  スレッドはもう阿鼻叫喚の有様と化している。あの書き込みを見ても信じてない者や、面白半分で拡散などをしようとしている者、スクショした者もいるというなんともカオスな状況ではあるが。 『この村はね……地獄の蓋の上に存在してるの。元々、悪い気が溜まりやすい地形であったんだけど……それがこの世からもあの世からも飽和してね、一時期は大雨に日照りに土砂崩れに地震にと、天災ばかりが続いていたのよ。忌み地とも呼ばれるほどにね。それを防ぐために、大昔の人が一計を案じた。生け贄を用いて、人柱を立てて、それであの世の悪い気がこちらに溢れてこないように……二つの世界の境が壊れないように堰を作ったのよ』  今分かった。  全てが、繋がった。 『その、一番最初の生け贄になってくれたのが“あの神様”だった。でも、神様の力は長持ちしない。一定周期ごとに生け贄を追加して神様の糧にしないと、地獄の蓋は緩んでしまうことになる。笹下村とは、“捧げる村”のこと。生け贄となる人間の条件は……“村の外から来て神様の名前を口にした者”。美園ちゃんはまだ口にしてない。でも琴子ちゃんはこの村に来てすぐ言ってしまった、だから拐われちゃったのよ……!』  恐らく。生贄となる人間の条件が“みかげさま”の名前を口にした者なのではない。恐らくそれは、目印に過ぎない。実際はもう、このスレッドを見た時点で自分と琴子は選ばれてしまっていた。選ばれた人間は、この村でその名前を呟く。それを村の誰かが聞きつけ、その者が“生贄”として呼び寄せられた存在であると知るのだ。  そして、儀式によって、生贄は人柱となる。人柱を作るため生贄を殺すのは村の人間達――生きた祭祀達の役目だが、その魂をこの世とあの世の堺に埋め込むのがみかげさまの仕事ということなのだろう。あるいは、死んだ時点で生贄はみかげさまの一部になるということなのかもしれない。
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