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あの一件以降、早川という男はよく香織の部屋に現れるようになった。 あの部屋は俺と香織のふたりだけのものだったが、気付けばそこには自然と彼も含まれるようになっていた。 早川といる時、香織はいつも幸せそうだったし、早川もまた幸せそうだった。 俺に対しても、彼はいつだって優しかった。 早川がこの部屋に来るようになってからはもう香織の表情が曇ることはなく、俺がここを出て行く理由もなくなった。 たとえ俺が本来の意味で遠くへと旅立ったとしても、彼女はもう、一人ではないのだ。 窓辺で欠伸をしながら俺は丸くなって二人を眺める。 首元で金色のチャームが静かに揺れた。
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