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ほぼ、顔立ちは同じ。
しかも、父親譲りの整った顔立ち。
なのに、今回、自分にだけこんな話しが来たのは…来たのは…、日頃の行いのせいかもしれない。
弟の律だって、モテ人生を歩んでいるはずだが、瑛ほど派手に遊んではいないからだ。
くっそ、真面目…に見えるように、過ごしておくんだった…という反省は、今頃遅い。
律だって、今回の件では戦々恐々のはずだ。
にっ、と笑った瑛はスマホを手に取った。
「律。」
『瑛…聞いたよ。』
さすが、言わなくても分かっている。
「回避したい。」
『まあ、そんな気はしたよね。』
ため息を含んだその声は、瑛からの電話も予想していたのだろうと思われた。
「いずれ結婚するのは構わないけど、親のお膳立て、なんてゴメンだね。運命の人といつか逢える、なんて乙女な事は考えてないが、今は遠慮したい。」
『断れば。』
あっさりと律に返される。
自分が淡泊なのは構わないのだが、人にされると、気持ちイラッとするのは、なぜだろう。
「お前、聞いたんだろ?お母さん、本気過ぎて怖い。」
『まあ、確かに。』
「律、俺の代わりに出て、断っといてくれない?」
『はあ?!ふざけんなよ。俺だって、やだよ。』
「少し前に、女と手切るの、手伝ったよなぁ…。」
電話の向こうで、黙り込む律の気配を感じた。
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