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ひとしきり、挨拶をしてゆっくりお茶でも、とか何とか言われつつも、絢音に急かされて、家を出た。
「よかったのか?」
「いいんです。もう!うるさいんだから…」
「どこも母親なんて、そうだぞ?うちも、うるさいんだ。」
「なら、良かった。」
良かった?
「そういうの、うちの母で慣れてますから。」
瑛は笑ってしまう。
本当に、この子の発言は、驚かされる。
それも、いつもいい意味で。
絢音に案内されて、到着した美術館は、住宅街の中に、ひっそりとあるようなところで、普段は、そこのオーナーの持ち物である絵画などを展示しているそうだ。
時折、こうして若いアーティストの個展も開いている、とのことだった。
そのアーティストが、妙に絢音と仲が良さげで、悶々としながらの帰り道。
「絢音、家に寄っていかない?」
「いいですね。」
そう、声をかけた瑛に、にっこりと笑顔を向ける絢音。
全く危機感がない。
知らないぞ?
どうなっても?
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