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一口飲んで、マグをセンターテーブルの上に置いた。
ふと、見た絢音は、両手でカップを持って、こくこくと飲んでいる。
──本当に可愛い。
母にお見合いを、と言われた時は、こんなにも愛しい存在になるとは思わなかった。
飲み終わった絢音は、ふうっ、と息をついている。
「あの…」
くるっと、こちらを向いた頬がピンク色だ。
おや…?
「あんまり、見られたら…なんだか…、恥ずかしいです……」
「そう?」
にっこり、笑いかけると、少しだけ絢音が、表情を曇らせた。
全部顔に出るから、分かる。
「どうしたの?」
「なんでも…ないです…」
そう言って、絢音はふっ、と顔を逸らせた。
「なんでもない訳ないでしょ。」
その顔に手を添えて、瑛の方に向かせると、絢音は泣きそうな顔をしている。
「絢音?どうした?」
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