琴音のプロローグ

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時代錯誤と、言われるかもしれないが 現実として、育って来た環境という意味では、家柄もある程度は、釣り合いが必要なのではないかと思う。 特に、絢音ちゃんみたいなタイプは、お見合い向いてそうな気がするけどなぁ。 活発で、好奇心旺盛、だけど男性が少し苦手だ。家柄の良い坊っちゃんタイプなら…… そんな苦手意識も和らぐのではないか 勝手な見合い相手のイメージを仕立てては 見合いの前日まで 琴音は呑気にそう思っていた。 結局、絢音も琴音も、お見合いの相手がどんな人とも知らずに、その日を迎えることになる。 ……確かに絢音ちゃんは、男性が苦手なのだけど だからといって、まさか、まさか! 私が絢音ちゃんの変わりにお見合いすることに……なるなんてっ!! 「先方はね、なるべくあなたに負担を掛けたくないから、って、お仲人さんもいらないし、ご両親の同席も要らないって、仰ったんですって。」 来るつもりの無かった琴音は、不安だから着いてきて!と絢音に言われ 結局…全員がこの場にいる。 ホテルのレストランの半個室。 じゃあ、こちらで待っていなさいね、と母は絢音に告げ 絢音をそこに一人残し 琴音は両親と別の場所で待機することになった。 「御手洗いへ」 琴音がそう言って向かったその先に 個室にいるはずの絢音の姿……
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