ミルクの末路

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ミルクの末路

運命なんてあるはずがない。 偶然にだって理由があるのだ。 だから私は、私だけは絶対に、この男の口車になんか乗ったりしないと決意している。 「一生騙され続ければ、それも真実になり得るのに」 男は言う。これみよがしに綺麗な瞳で。 まだ湯気の立つコーヒーにミルクを落とすと、まるで私たちの思惑のようにぐるぐると、お互いを巡ってとぐろを巻いた。 それでも結局、コーヒーであることには変わりないのに。
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