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第2話
「ねぇ、ひなた。早く教室に行こうよ」
璃都に袖を引っ張られながら俺達は指示された教室まて向かった。入った先には何人かがすでに席に座っていた。
「確か、今年のアイドルコースの人数は男女合わせて30人だったよね?」
「あぁ、そうだな」
てことは、俺はその30分の1なんだよな。なんだか実感が沸かない。身体に緊張感が走りわたる。
「あっ!あの赤い髪の人ってあの有名俳優の息子、柊木雅巳じゃないかな!」
…柊木雅巳?
「あ、また分からないって顔してるよ、ひなた。ほらお父さんが柊木和喜!今の連ドラにも出てる」
…!!
「あの人!?」
やっと思考が追い付いた。あんなすごい人の子供までいるのかよ。ここは。それより、なんだかあいつ…寂しそうな…。彼、雅巳は無言のまま姿勢正しく自分の席に座っていた。目立つ赤髪は親譲りだろう。確かそのお父さんの和喜さんも髪が赤かったはず。
「それにしても、静かだね。喋ってるの僕たちだけみたい」
確かにそうだ。やけに静かだ。
ガラッー。
「全員席について!早速、ホームルーム始めるよ!」
急にガラッとドアが開いたと思えば、後ろから入ってきたのは、ハキハキとした30代くらいの女性…というか、この人って
「わぁ、門崎紘だ!本物は初めてかも」
隣にいた璃都も気づいたようだった。歌もダンスも小柄な体型なのにそれを活かして歌う、若い人に人気の女性シンガーだ。俺達は、指示通り自分の席についた。ちなみに、璃都とは前後であった。
「うーん、今年もなかなか見所のある者ばかりだな!…しかし、ちゃんと着いていかないと、蹴落とされるからな!しっかり鍛練するのみ!」
ニコニコしながらも、大切なことを言っていた。
「私がこの1年、担任を勤めることになった門崎紘だ!分からないことがあったらどんどん聞いていいぞ!」
やっぱり担任なのか。
「それじゃあ、早速だが、自己紹介よろしく!」
「あ、じゃあ俺が1番いいすか!」
立ち上がったのは1番後ろに座っていたやつだった。金髪…。。。背も高いし、声も透き通ってる。
「俺、笹塚騎月っていいます!ダンスなら負ける自信ないっす!」
ハキハキとしている。担任の門崎先生に似たような感じだな。拍手が起こる中、俺も連れて拍手をした。
「じゃあ次は…その前行ってみようか!」
当てられて、スッと立ち上がったのは黒髪ロングの似合う女子だった。
「華伊世瞳、以上です」
…シーンとなる教室。誰もが驚いた。あんなテンションの差があると誰だって驚くだろうが。
「うん、華伊世は人見知りか何かか?まぁ次はだな…」
「うち、北條夏音っていいます。よろしゅうお願いします」
次に立ったのは、見た目すんごいおっとりとした女子だった。いや、実際もおっとりしてた。なんか大和撫子みたいな雰囲気をまとっているように感じた。それからクラスの自己紹介が終わっていった頃
「じゃあ、最後は…桜志咲来」
桜志?…生徒会長と一緒の名字だよな。
静かに立ち上がり、すぅと息を吸う音がほんの少しだけ聞こえた。…そういえば、隣の席だったのか。通りで音が聞こえる訳だ。
「桜志咲来です。俺は兄…葵唯生徒会長のパートナーになるのが目的でこの学園に入学しました。どうぞ、よろしくお願いします」
なんというか、一言で言うとすごい美貌の持ち主だ。生徒会長に負けないくらいの…。兄弟揃って綺麗だな。でも、パートナーって何だろう。1年と3年で学年も離れているし、璃都が「会長と副会長ってあれでもグループ組んでるんだよ~」とか言ってたし…。一体何が違うのだろうか。後で璃都に聞いてみるか。
「そうか、桜志はもうパートナーについても考えているんだな…。うん、よし!それじゃあ自己紹介も終わったことだし、今日はこれにて解散!」
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