プロローグ

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プロローグ

輝く未来に届くように…!!! 俺、この3年間で世界で一番のスターになる!!! プロローグ ピッピピピピピピーカチッ。 ゆっくりと身体をベッドから起きると、腕を空にあげ、一気に背伸びをした。 「…よしっ」 すぐさまベッドから飛び出すと、窓まで一走りそしてバッとカーテンを開けた。一斉に入り込んだ朝の日の光を浴びるとにっと頬が緩むのが分かった。 「…今日から俺も星乃川学園の生徒になるのか」 後ろを振り向き、ハンガーに掛けてあるシワひとつない新しい制服を見つめた。胸の星が星乃川学園の生徒である何よりの証だ。 「…っ、なんかウズウズしてきたぁ」 だんだんだんだんー。ガチャっ! 「ひーなーた!いつまで部屋にいるの!さっさとご飯を済ませなさい!!!」 「わわっ!?か、母さん。ビックリさせないでよ」 「そう思うなら、制服眺めてないで早くしなさい」 なかなか下に降りなかったせいか、母さんがいきなり部屋に入ってきた。中学の頃から毎日のように部屋にいきなり入ってきては、俺を大声で起こしに来てくれてた。正直、もう少し優しく起こしてほしかった。なんて言えないけど。母さんが部屋から出ていったあと、制服のシャツに袖を通すと後に続くように一階のリビングまで降りた。 「あ、やっと起きたんだ。おはよう、お兄ちゃん」 「ひかる…、お前、ほんとに中学生か?」 新聞を片手にコーヒーを飲みながら俺より先にリビングにいたのは妹のひかるであった。新聞読んだり、毎朝、日課のようにコーヒーを飲む妹の姿を見てすごく心配になる。こいつは多分、早くおばさんになるぞ。それでも成績優秀なひかるは俺より可愛がられる。小遣いだってたまにひかるの方が多いような気がするんだけど…。 「早くしないと、今日、入学式なんでしょ?」 「あ、あぁ」 箸を手に取り、目の前においてあったご飯を口に頬張る。 「でも、よくお兄ちゃんがあの名門校に通ったよね。ずるでもしたんじゃないの?」 「まだそれを言うのかよ。俺はずるなんてしてない」 ふーんと興味無さそうな顔をしながら、ひかるは再び新聞に目を通し始めた。ほんと、なぜそこまでお兄ちゃんを信じないんだ、ひかる。…いや、正直俺も、合格通知が来たのには驚いた。倍率は何十倍。受かる人なんて滅多にいない。いたとしても、親が有名人だったりする人ぐらいだ。ただの一般人が受かるなんて稀なのだ。…て、その前に星乃川学園ってどんな場所か分からないよな。星乃川学園は簡単に言うと将来、芸能界で働けるような俳優や歌手などを育成する学園であり、俺はアイドルコースというアイドルを目指す学科を受けたんだ。別に俺は特別、歌やダンスが得意な訳でもないが、昔会った1人のアイドルを見て俺もこうなりたいと思って一か八かで受験したんだ。試験日にはたくさんの人がいて、中にはすごいパフォーマンスをするやつだっていた。そんな中で多分俺は下から数えた方が早い順番だっただろうに…。合格したことが分かったら、その日は夢でも見てるんじゃないかってくらいビックリしてたんだ。その時ひかるはポカンと口を開けて「え」と一言だけ言っていた。ほんと、なんか不思議なくらいだ。 「…ちゃん、…お兄ちゃん」 「え」 ハッとしたらひかると目があった。 「…お兄ちゃん、時間、大丈夫なの?」 ひかるに言われるとそっと時計に視線を移す。その瞬間、血の気が引いていった。時刻は7時50分。入学式が8時30からで学園までは30分以上かかる。そうなると…。 「ち、遅刻!?」 隣でひかるのため息が聞こえた。俺は口にご飯を流し込み、二階に駆け上がる。あらかじめ準備しておいたバッグとブレザーを手に取り洗面所に駆け込む。高速で歯磨きをし、髪をきれいに整える。玄関に向かうと、後ろから母さんが顔を出した。 「ほんと、朝から騒がしいわね」 「あはは、じゃあ行ってきます!」 そして俺は高校生活一日目をスタートさせた。
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