物語の終わりと始まり

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「はー…静かだなぁ」 草地に寝転び、晴れ渡る空を見上げる。 風がそよそよと吹いて心地よい。 ついこの間まで魔王軍と死闘を繰り広げていた身としては、平和になったことが実感できて感慨深い。 俺は、魔王を倒した勇者ご一行の回復担当だった。役職は魔法使い。まさか魔王軍を相手にするだなんて、旅の最初は思ってなかったのにな。 元々、俺と勇者は幼なじみだった。 今でこそ考えられないが、村であいつは意地の悪い奴らによく追いかけ回され、泣いていた。そんな時、俺はよく"勇者"のように颯爽と登場し、奴らを返り討ちにしてやった。 俺の背に隠れ、服の裾をぎゅっと握りながら泣くあいつを見ながら、「俺がずっと守ってやらないと」と子どもながらに決意したものだ。 それが今や、あいつは魔王を倒した立派な勇者様だ。あいつが"伝説の剣"を抜いた時は驚いたもんだ。
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