いち

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高校生男子は無敵だ。 今日も今日とてみんな元気だ。 「チカイぃいいーーっ!頼むよぉおお!お前だけが頼りなんだぁあああ!!」 昼休み、クラスメートが騒がしい中、一際騒がしく喚き立てているのは中学から持ち上がり組の一ノ瀬昇(イチノセノボル)。ムードメーカー的にいつも明るく、落ち込んだ姿なんて滅多に見たことがない程の元気な男子高校生。 そんなノボルを面倒くさそうに、どうでもよさそうに、軽くあしらっているのは、ノボルとは対象的なクールな雰囲気を醸し出す園崎誓。 「マジでうるせぇなお前。声のボリューム調節機能どっかで壊してきてんじゃねぇの」 「そんなことどうでもいいんだってぇええー…」 「何回も断ってんだろ、俺を巻き込むな」 「そんな冷たいこと言わずにさー」 ちなみに、喧嘩の加勢をお願いしている最中である。 なんでも、隣町にある高校のやつらと抗争があるんだとか。 数日前から絶対負けられないと息巻いてて、チラチラアピールしていたことに俺も番長も気づいてはいたが華麗にスルー。しびれを切らした本日、こうやって昼休みに頭を下げに来たという流れだ。
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