さん

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番長とふたりのクリスマス。 皆に振られていなければ、ムサ!男だらけのクリパ!を開催しようとしていた俺には、今のところ何をしようか考えがない。 ふたりで鍋してもなぁ…。 小さい鍋になるしなぁ。 「サキ、上の空」 「ばんちょーはケーキ何味がいい?」 「甘くないやつ」 「ケーキって基本甘いんですよねー」 さてどうしよう。 現在園崎家。 ダラダラと過ごしながら、番長が早めに配られた冬休みの宿題に勤しむのを見ながら計画を練る俺。皆がいなかったから楽しくなかったなんて思われたくないので真剣に吟味している。 「またクリスマスのこと考えてんのか」 「ばんちょーもたまには案を出してよー」 「そうだな…」 俺につられて手を止める番長は、何かを考えているのか難しそうな顔してる。 「たまには、ばんちょーのやりたいことやってもいいんだけど」 いつも俺や皆がやりたいことをやっている。それでも、番長は楽しんでくれているみたいだから、特に不満はなさそうだけれど、今回はわざわざバイトも休んでもらって2人だけのクリスマスだ。 なにげお初だ。 「分かった」 「……なにを?」 「当日は俺の考えたプランで行くから、サキはなんも考えなくていい」 「へぇ」 まじか。 まじですか。 計画を練るという俺の楽しみを奪うおつもりで。 「じゃー、プレゼント交換だけ組入れて置いて」 それでも。 普段滅多に番長主催のイベントなんてないから、楽しみだった。 「分かった」 組み入れてもらったプレゼント交換だけは決定事項だったから、それだけいれてもらえれば俺に不満はない。プレゼントまだ決まってないけど。 えー、楽しみー。 なにをするんだろう。いつも企画側だったから、当日まで分からないとか新鮮。ワクワクする。 「ってことで、集中」 「…へーい」 ついニヤニヤしてしまう顔。 宿題の催促をされ、手はしぶしぶノートにペンを走らせる。 まさか、宿題やらせる口実じゃないよな?と疑いつつ、それでも今は番長を信じて宿題をやる他なかった。 ***** クリスマスまであと2日。 明日から冬休み。 師走と言われる12月は、なんとなく過ぎ去る時間感覚が短く感じる。とくに忙しいこともないのだけれど。 いや、学年末テストがあったのでまったく忙しくないなんてこともないのだけれども。 二学期はそれなりに真面目に取り組んでいたつもりなので、そこまでテスト勉強も苦じゃなかった。相変わらずの園崎家立ち入り禁止が言い渡されても、怒涛の日々であっという間に過ぎ去る。 「いい感じですな」 「だな」 広げられた答案用紙。 赤で記された点数は、番長と似て非なるもの。総合点を照らし合わせれば1点差で、あとは三学期のテストさえうまく調整できればクラス替えも心配ない。 テストは終わったが、番長はとりあえず明日のクリスマスイブまではバイトが入る。 クリスマスは休み。 クリスマスのピザ屋なんて忙しいことこの上ないはずなのに、よく休みもぎ取れたなと思っていた。 思っていたついでに聞いてみた。 「言われて気づいたけど、お前といること以上に大事なことなんて俺にはない」 から、無理矢理休み取った。 おーとーこーまーえー! こんなん女子だったら惚れるほかないじゃんね。いや俺は中学の時からベタ惚れですけどね!!
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