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「なにそれ、自慢?」
「ふふふー、よかろう」
ドヤ顔見せれば、呆れた顔で返される。
「誓が紫を特別扱いするなんて、何年も前からじゃん。今更?」
「妬くな妬くな」
有頂天の俺には嫌味など通じない。
「妬いてねぇよ。むしろ、俺ん家にいることを誓が妬いてるんじゃねぇの。なんで言った」
「ホウレンソウが義務付けられてるから」
「…なんなの?上司と部下なの?」
馬鹿らしいとクリスマスカラーのクッションを抱えながらため息をつくコースケ。
本日クリスマスイブ。
番長とのデートは明日なので、番長は今日までバイト。なので、ひとり寂しい俺は朝からコースケ宅にきていた。前回のこともあるので番長には報告済である。
そしたらなにやら、事前に番長から電話もらったらしいコースケは、何かを言われたらしくげんなりしている。
コースケのとこ遊びに来ても、外に出ることはない。
気温の低さにヒッキー具合にも拍車がかかる。暑すぎても寒すぎてもダメだ。コースケは、日本に向いていないとつくづく思う。
漫画もアニメもゲームも、幅広く2次元愛してるから、そういう意味では日本でよかったのだろうけど。
「てか、コースケは明日なんの予定があるのさ」
明日は土曜日。
クリスマス。
振られているので、今更ぐちぐち言うつもりはないけれど、こういうイベント事で断られたことなかったから単純に気にはなっていた。
「俺はこないだナンパした子とデート」
「…コースケなら納得するんだけどな。ノボルは全然信じらんないんだよなぁ」
「ふはっ!何アイツ、デートの予定でも入ってんの?絶対嘘じゃん」
「嘘だろーね」
失礼極まりないけど、嘘にしか思えない。まず、ノボルに彼女ができたとしたらアイツは、もっとテンションバク上げになってると思うし、頼みもしないのに写真を見せびらかしてくるタイプだと思っている。
「高槻とミツはなんて?」
「高校のやつらと集まりがあるらしいよ」
「…そりゃ邪魔できませんねぇ」
「俺的には今年急に皆ダメになるから、なんかしらの手引きがあるんじゃないかと疑ってるんだけどね」
「紫はそんな馬鹿じゃないもんねぇ。弁明させてもらうと、決して紫と一緒のクリスマスが嫌とかじゃないからー」
「そんなの分かってるー。なに企んでるの?」
「さぁ?まぁ、でもたまには誓とふたりで過ごすのもアリなんじゃない?相棒なんだし」
口を割る気はないと。
立て続けのごめんなさいとか、傷つく前にそりゃ疑う。だって去年までは当たり前にクリパしてたのに。
「いいよいいよ!今年はばんちょーとふたりで超楽しく過ごした後日自慢するから!」
「性格悪いねー」
「それほどでも!」
番長と過ごせるならそれでいいさ!
君らはせいぜいデートなりクラスメートとのコミュニケーションなり存分に過ごせばいいさ!
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