さん

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男同士で手を繋いで歩くのはいかがなものかと思いはするけれども、今日はデートだから仕方ない。 たまにちらっと見られる程度で、まわりの人達もクリスマスに浮かれていた。 先程までちょっと先を歩いていた番長だが、少しずつ歩調を緩めて今は隣を歩いている。さみぃ、とマフラーで隠れた口元のせいで声は小さく、ツンと伸びた鼻先は冷気のせいでわずかに赤みを帯びていた。 「ところでどこ向かってんの?」 「さみぃからとりあえず運動ー」 「運動?」 「ボーリング」 いいですねー。 ボーリングいつぶりだ。高校入ってからは行ってない気がする。 ふんふんと鼻歌混じりな吐息を吐きながら、番長とつないだ手をぶんぶんと振る。咄嗟に掴んだだけだと思っていたけれど、そのあとも番長が手を離そうとすることはなかったから、なんとなく俺もつないだままにした。 Theデート!って感じするし、滅多にないことだし、今のうちに堪能しとこう。 有言実行でみんなに自慢する気満々だった。 ***** 「ナーイス!ストラーイク!」 てか、ターキー。 パワーボーリング。 テクニックもなんもない、まっすぐ投げられた番長の球は力強くピンへ向かいすごい音を立ててピンをはじき飛ばした。弾き飛ばされたやつがまた別のピンを倒してストライク。 さっきからこれ。 「真面目に投げろよ」 「真面目に投げてますー」 失礼な。 ハイタッチで出番交代。 俺がパワーで押し切ろうとすると真っ直ぐいかず、最悪ガターに入ってしまうためさっきから曲がる球に悪戦苦闘していた。 曲がるっちゃ曲がるけど、中途半端。 変にスプリットになってしまい、さっきからスペアすら出せていない。 立ち位置が悪いのか?と思い、投げるごとに位置調整をしているのだが、それを番長は真面目に投げてないと言うのだ。 「よーい…っしょ!」 「変な掛け声」 「っしゃー!ストラーイク!」 ようやく出たストライクに、喜びいさんで番長と両手ハイタッチをかましに行く。いえーい!と喜ぶ俺を見て、番長は何故かふっと笑って、順番交代して、ストライク出して直ぐに戻ってきた。 フォース…。 「腹立つなー、その顔」 「元々だ」 「俺の知ってるばんちょーは、そんなニヤニヤしませーん!」 パンッ!とさっきの今で再びハイタッチをかます。 勝負は2ゲーム目からだなーと考えながらとりあえず曲がるボールを安定させようと球を放った。
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