裏庭のカナ

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 田舎町のくせに男女別々に建てられた寮の最上階、三階に連れていかれる。他と比べて天井の低い廊下に、頑丈そうな木製の扉があった。 「ここだ」  じゃらじゃらと鍵の付いた束から大きめのものを選んで鍵を開けた細マッチョに、目線で入室を促される。  室内に入ると少し埃っぽい空気が俺を出迎えた。八畳ほどの広さの部屋に一脚の椅子と、一抱えほどの大きさの木箱。床には何かの空き袋や空のペットボトル、本に座布団に金槌にマジックにロープ……色々なものが無秩序に転がって多少乱雑な印象。低い天井に唯一外と直接繋がり得る天窓があり、午後の陽射しを四角く切り取って床に落としていた。 「で、この部屋で何すればいいんですか?」  訊くと細マッチョは外国人風に肩を竦めた。 「別に何も。外から鍵掛けられてしばらく出られないだけだ」  表情には出さなかったものの正直拍子抜けである。どんなに壮絶な「お仕置き」が待っているのかと思いきや、ただ監禁されるだけとは……。  俺の内心の落胆に気付くはずもなく、細マッチョは「しっかり反省しろよ」と言い残して出て行った。予告通り外から再び施錠される。当然内側からは開けられない。
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