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三十分ほどうろついてみたがそろそろ飽きてきた。俺の飽きっぽさ集中力の無さは小学校時代の通信簿も証明してくれる。これだって立派な個性だ、と誰かに主張しつつ、脱出法の検討にかかった。
まずは入り口の扉。軽く叩いたり蹴ったりしてみたが、見た目よりもさらに頑丈そうだ。中に鉄板でも入っているのかもしれない。
「となると、ターゲットは天窓か……」
天井が低いおかげで、椅子の上に木箱を乗せれば小柄な俺でも窓に手が届いた。問題は窓が開くかどうかだが……。
「……あら」
ちょっと押したら容易く開いた。外の新鮮な空気を味わいながら、有り難くも物足りない、などと贅沢な感想を抱きつつ窓枠に手を掛ける。懸垂の要領で身体を持ち上げ、屋根の上に出て──
「…………」
絶句した。
眼下に広がる光景に脳の情報処理能力が追い付かない。ぽかんと口を開けたまましばしフリーズ。
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