2、恋のおわり

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 南奈の父は、S市の市営住宅で暮らしていた。 「個人宅の電話帳ってある?」  嶋永という家を探していると南奈が言うと、父は顔色を変えた。 「お母さんが話したのか?」  東京からまっすぐここに来たため、母には何も言っていない。 「なんでお母さんが関係あるの? 何か知ってるの?」 「話すわけにはいかない。お母さんと約束したからな……ただ、向き合って、重みを受け入れて生きて欲しいと、俺は思ってる」  ふと春都の怖い顔が浮かんだ。   両親がそこまで深刻になるなんて只事(ただごと)じゃない。  思い当たる記憶はないが、やっぱり南奈にはそういう何かがあるのだ。 「南奈が探しているのは、この家だろう」  父は手帳をめくり、ひとつの住所を示した。  嶋永誠と書いてある。 「このひとは?」  父は首をふり、何も答えなかった。 「行って来る」  南奈はスマホの地図アプリを立ち上げながら、父の部屋を出た。
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