もう一度、抱きしめて、キスをして。

4人で飲んでいた時点で一緒に帰るんだろうな、と思っていた。
先生とそういう流れになったのはいつだったか、1年前の自分を少し思い出しみた。ホテルに言って何をするわけでもなく、優しいキスが降ってきては、抱きしめられて眠るだけだ。そんな関係が続いているのも不思議だった。同期には、なんだそれ、と言われるけれど最後まで手を出してこないのは先生のほう。
ホテルまで行って最後まで手を出してこないのはどういうつもりなのかわたしが聞きたい。気分じゃないのか、わたしに魅力がないのか。一度本気で考えてみたことがあった。でも答えなんてわかるはずもなく、結局どうでもよくなって考えることをやめた。

「んー、どうするか。」
「どこか空いてないの。」
「俺明日外勤だから近くに泊まりたいんだけど。」
「わたし明日休みだからなんでもいいよ。」
「あ、休みなんだ。」

ならタクシー拾うか、と彼はタクシー拾い始めた。
遊びだと割り切っていたつもりが、優しさに触れるたび惹かれていくことを自覚した。落ちたらだめだよと同期に言われたけれど、だめだよ言われると落ちてみたくなってしまうのは仕方ないことなのか。