もう一度、抱きしめて、キスをして。

「寒っ、」

お店を出た瞬間、秋の冷たい空気に包まれて思わず声がもれた。
秋の別れと冬の訪れを風と空気が知らせる11月中旬。

「帰るか、」

隣に並んだ彼がそう言った。
少し離れたところには何やら親しげに話す男女がいた。

「あれは、？」
「2人で帰るだろ。お前は俺と帰るよ。」

同期と飲んでいたら電話がかかってきて先生たちと合流した。
整形外科の医師はチャラいとよく言うけどそれは本当だなと就職してから感じた。就職して1年と半年、気に入られるのは最初だけかと思っていたけどそうでもないらしい。未だに先生たちとよく飲みにいくけれど、いつも遅くまで飲んでは先生と帰るのが当たり前になっていた。
付き合ってるとかそういったものではなくて、いわゆる"お気に入り"てやつなんだと思う。