会社にて

1/1

4人が本棚に入れています
本棚に追加
/3ページ

会社にて

昨日は大変だったなぁ…淫魔が家の前にいたり、なんでかなぁ… 「ねぇ蟻壺クン」 「は…はい」 あー、あの嫌味しかない上司が話しかけて来たから、多分仕事を押し付けてくるだろう。 「今日中に終わらせておいてくれる?なんなら明日の朝に出してくれればいいから」 「え…この量ですか…」 見ると今日一日では終わらなさそうなくらいを机に置かれた。 「うん、この量。君なら出来るよね〜じゃあ!明日の朝まで待ってあげるからよろしく〜」 「ま、待ってくださ…」 今日は拒否しようと思っていたのに彼女はさっさと会社から出て言ってしまっていた。また残業のようだ… 「はぁ…またか…今日はアイマスク買ってかえろ…」 はぁとため息をまたついた。早く休みが欲しい。いつ休みが来るのだろうか、そう考えるとまたため息が出た。 ----------------------------------------------------------------------------- 会社でうとうととしていると光が消えた。あー、もう、今日は会社に泊まりかな、嫌だなぁ…風呂に入りたいし…そう思いながら目を擦っていると後ろから影がぬっと出てくる。 「…ありつぼ?」 「…ん?」 「やっぱり、ありつぼだ…!」 後ろを振り向くとコンビニのヤンキーがいた。 「うわっ!?」 ビクッと身体を後ろに仰け反るとヤンキーは驚いて目じりを下げる。あ、すっごく申し訳ないことをしたような…って、ん!? 「あ!この前のい…んま?えっと…シューザだっけ?」 「…!覚えてくれてるのか…?」 「覚えてくれてるって…忘れられないし、昨日のことでしょ?」 忘れないよ、と言うとぱぁと顔が明るくなった。そんなに嬉しそうなのか。 「って、どうしたの…?お腹すいてても俺の精気はあげないよ」 「い、らないは嘘だけど…ただ今日は手伝いに来ただけだ」 「手伝い?」 「うん、俺の友達が…その…欲しいならちゃんとお礼を…貰えるようにやってみたらどうだって、言われた」 「あー…つまり俺の手伝いをするから精気ちょーだいってこと?」 こくんと頷く彼の顔を見てやっぱりか…とか思ってしまった。そうだろうと思った。 「だったらいいよ、いらない」 「っ…う、嘘だ、本当は、いらない…一緒に居たいだけだから、手伝わせてくれ…」 「嘘だね、精気を貰うつもりなんだろ?俺一人でも出来るし、帰っていいよ」 ぐっと顔をしかめると俺の顔をがしりと掴むと口をがぶりと噛まれた。 「ヴッ…」 痛い、そう思った時に急に眠気が襲ってくる。 まだ押し付けられた仕事が半分以上残っているのに…寝てはいけない。 そう思いながらも瞼が重たくて目が開けてられない。 寝ちゃだめなのに… ------------------------------------------------------------------------------------ つい寝てしまったようだ。口がジンジンと痛いし、肩こりも酷い。せめて机の下で寝ればよかった… ぽりぽりと頭を掻きながら思い出す。そういえば、仕事がまだ半分以上あったような…サーと血が引くのがわかる。絶対にドヤされる。あのウザイ上司にドヤされることほどムカつくことは無い。 「って…」 目の前にあるはずの紙の束が見つからない。もしかして、誰かに持っていかれただろうか、持って行ったとしたらだれが? 「あら蟻壺クン、起きた?」 「…っ」 今一番会いたくない人だ…なんて言われるか… 「仕事終わったからって机で寝ないでよね」 「…へ?」 「昨日担当の人から電話来たでしょ?その資料要らなくなったから捨てて良いって言われたんでしょ?」 だから寝てたってことでしょ?と聞かれてもそんな電話来なかったし、いつの間にか寝てた。最後に見たのは…あの淫魔の顔だ。 あの淫魔が何かをしてきたのか…? …そんなわけないか。ただの偶然だろう。あいつはただ精気が欲しいだけなのだから。 -------------------------------------------------------------------------------------------------- ハレビールに怒られた。 「はぁ?それは無いだろ。なんも伝えてきてないじゃん!」 「…?恋を諦めろって言ってきたのはそっちだろ」 「どーせ諦めきれてないだろ。もっとキッパリ断ってもらえよ。あわよくば精気貰ってこい」 なんだそれ、と言いたかったがハレビールは頭がいいから何か考えがあってのことだろう。 ----------------------------------------------------------------------------- きょろきょろと探すと探していた本人に出会う。 「…ありつぼ?」 「…ん?」 「やっぱり、ありつぼだ…!」 探してるやつを見つけてすごく嬉しくなってしまってつい近くに行ってしまった。 「うわっ!?」 彼はビクリと身体を動かすと後ろにのけぞってしまった。…ごめん。 「あ!この前のい…んま?えっと…シューザだっけ?」 「…!覚えてくれてるのか…?」 「覚えてくれてるって…忘れられないし、昨日とかのことでしょ?」 覚えてくれているだけで嬉しくてつい笑ってしまった。笑わないようにしてたのに… 「って、どうしたの…?お腹すいてても俺の精気はあげないよ」 「い、らないは嘘だけど…ただ今日は手伝いに来ただけだ」 「手伝い?」 「うん、俺の友達が…その…欲しいならちゃんとお礼を…貰えるようにやってみたらどうだって、言われた」 「あー…つまり俺の手伝いをするから精気ちょーだいってこと?」 こくんと頷くと彼ははぁとため息を吐いた。 「だったらいいよ、いらない」 「っ…う、嘘だ、本当は、いらない…一緒に居たいだけだから、手伝わせてくれ…」 「嘘だね、精気を貰うつもりなんだろ?俺一人でも出来るし、帰っていいよ」 つい嘘を吐いたのだが仇となったようだ。ただ純粋に手伝いたいだけなのだ、それでもダメだろうか…ならば…強行突破だ。 「ヴッ…」 ありつぼの口に噛み付く。睡魔を流すには口からが一番早い。ありつぼの口の周りには血がにじんでいるが気にしてはいられない。この仕事が必要な奴を骨抜きにしてきて、仕事を要らないようにしよう、ハレビールが大事な事はこの席の人にはさせないとか言ってたし、大丈夫だろう。ちなみに、大事な仕事をするのは真ん中の席の人らしい。名前を調べて早くしないと仕事を中止する事を言えないよな、早く行こう。 ------------------------------------------------------------------------------------ じっと見守る。ありつぼ以外の人には見えないようになっているからありつぼに見えないようにすればいい。だから後ろからじっと見る。 「…ありつぼ」 ありつぼはすごく驚いているような顔をしている。そら驚くだろう。あの後俺は名前が書いてある所に行ってしゃちょうしつ?って書いてるところに入って偉い人とちょっとチューしたら直ぐに仕事は無くなった。今頃偉い人は俺とデートしてる夢を見ているだろう。寝かせてきた。 これで…ありつぼの気が楽になればいいな。
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加