いつかの君と

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サラサラと風の音を聞いていた 青空に舞う八重桜の花弁が、おいでと呼んでいるような気がした。 「妙子さん、何を見ているんですか?」 誰のことを呼んでいるのだろう ふと 声のする方を向いた 微笑んでいる可愛い女の子がいた。 「妙子さん、今日はいい天気ですね。こんな日は散歩に行きたいですね」 「あ…あ…そう…ね」 「桜って、散り際も綺麗ですよねぇ。妙子さんも見てたんでしょ?!」 ああ、そうだった……何だか夢を見ていたような気分だった。 「風の音……がね、囁いているようだったの」 「やっぱり!妙子さん、お散歩いきましょう!」 『彼女』はそう言うと 「主任!妙子さんとお散歩行ってきていいですか?」 「ああ、いいよ!風邪ひかないように暖かくしていって。車椅子気をつけろよ!新人!」 「はぁぁい!」 「さて許可も出たし、行きますか妙子さん」 『彼女』は、ひざ掛けとカーディガンを羽織らせてくれた。
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