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 ここは、何処だろうとナミカはいぶかしむ。天国かな?。羽が生えた天使が数人いて中央には白くて長い口髭を生やしたお爺さんがいる。この容貌から察するに神様のようだ。お爺さんと言うか神様は白い雲に乗って白い布を身に纏っている。ナミカは卒倒した記憶があるがいつの間にここに来たのだろう。上からのさすような後光が眩しい。その神様はナミカに向かって慈悲な顔をする。憐れんでくれているのか。大好きな人の命を奪ったから情けをかけてくれているのか。だったら過去に戻して如何にかして欲しい。ナミカは手を合わせて懇願した。 「神様、あの人を助けてください。過去に戻してやり直させてください。もう一度命をお願いします」 「でもねえ、命を与えたら、命を一つ天国に召さねければいけない決まりになってるんですよ」  ナミカは涙を壊れた蛇口のように流す。 「でも、こんなのって。あんまりです」 「出会わせなければ良かったんですかねえ」  神様は太陽で光った手をこちらに向ける。 「貴方は行いが良かったから特別です。もう一度やり直しますか?出会いがなければ悲しむことはありません」 「でも、出会いたい。存在を知ってしまった以上は特別に」  ナミカは両手を地に付けて泣き崩れた。つい昨日のことを思い返す。あの時はこんなことになるなんて微塵も思っていなかった。
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