睨みし恋は甘んずる

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睨みし恋は甘んずる

いじめられっ子×ヤンキー いつもの様に、静かでどんよりと死にたくなるような毎日が来ると思っていた。 だが、それは唐突に掻き消された。 _______________ピンポーン 「誰だ…こんな時間に…」 今は朝の4時。 ピンポンが五月蝿くて起きてしまった。 「誰ですか…」 イライラしながらドアを開けた。 目の前にたっているのはモヒカン頭で、ダンボールを持った同年代と思われる男 「…えっと?」 「隣に引っ越してきた、#二楽 海真珠__ニラ マリン__#」 ずいっとダンボールを差し出されあたふたしていると 「中は米だ」 っと言われて玄関に無理やり入って置いていった。 後ろを見ているとお隣さんのようだ 「…変な奴」 あまり関わりたくないタイプだ 「極力避けよう…」 とりあえずダンボールの中身を見ることにした。 「えっ」 その中にはお米が15キロ。 それに品種はつや姫。 「何者なんだよ…!」 これで当分食料には困らないだろうな ______________________________ 憂鬱な学校、憂鬱な通学路 毎日毎日うんざりしている。 なぜこの学校を選んだのか? そう自問自答する時もある。 いっその事… バチンっ いい音がして何かに当たった 「い、たたたた…すみません!大丈夫ですか!?」 焦って謝って前を見るとそこには今日の朝米を持ってきた二楽 海真珠という男がいた 「あっ」 「…」 じっと睨んできている 改造学ランに、モヒカン、睨み…すべてがヤンキーの条件だ… わ、悪い事をしてしまったのだろうな。多分、こんなに睨まれているんだから…後ろには禍々しい雰囲気のオーラが見える 「す、すみませんでした!!」 っと言って立ち去ろうとするも腕を掴まれてしまった。 こ、殺される…! 「#尼鯉__アマコイ__#学園…」 「え?」 「#尼鯉__アマコイ__#学苑への道を教えてくれ」 #尼鯉__アマコイ__#学園とは俺の通っている男子校だ。 「えっと、俺もそこに行くんだけど、一緒に行く?」 「うん…」 「えっと、こっちです」 意外に素直なんだな、って思った。 ヤンキーみたいな見た目をしているから、一匹狼なのかと勝手に思っていた。 無言の間が流れる。 「あ、あの、今日の朝お米ありがとうございました。」 「…」 「…」 む、無視かな… 「つや姫」 「へ?」 「つや姫、俺のオススメだ」 「そうなんですか?」 「あぁ、冷めても美味いから学校に持っていくにはもってこいだ」 「食べ物好きなの?」 「そうだな、嫌いじゃない。」 「…突然だけど学年は?」 「一年」 「俺と一緒だ!ねぇ、今日俺とご飯食べない?もっと話してみたい!」 「俺とでいいのか?他の奴と____」 「一緒に食べるヤツいないし、大丈夫!俺は#屋沙美 魁雅__ヤサミ カイガ__#っていう。#魁雅__カイガ__#って呼んで」 「俺は#二楽 海真珠__ニラ マリン__#だ。#海真珠__マリン__#って呼んでくれ」 凄い、友達が出来た!怖いやつだけど食べ物について話している時は顔が柔らかくて可愛かった。 …可愛いなんて表現は可笑しいだろうが可愛いものは可愛い。 ブサカワとかいうものに近いのではないだろうか。 食べ物について話しているうちに住宅街を抜けて尼鯉学園についた。 ここまでで聞いた話だと滑舌が悪いからラ行を喋るのが嫌いらしい。 確かにもたついて喋っているところはあった。 それに、方向音痴でもあること。 だから尼鯉学園の正反対に向かっていたのか… キョロキョロと周りを見渡し 「職員室はどこにある?」 「一緒に行こうよ、こっちこっち」 俺達の学校は入り組んでいる。 だから、初見の人は分かりずらい。 「難しいな…」 「あはは!そうだよね、昔の校舎のままだからさぐちゃぐちゃに作られてるんだ」 「へぇ…」 「はい!ここだよ」 「すまないな。ありがとう。」 無言でガチャりとドアを開けて先生の名前を呼んでいた。 よくよく見ると改造学ランは元の形をしていない。 色も変わってるし、短くなってる。あれが短ランっていうのかな… キーンコーンカーンコーン 朝読書前の予鈴だ 急がなければ面倒臭い担任が来る… 廊下を走るなという貼り紙を無視し全力で走っていった
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