3.なし崩し的にというより飯崩し的に

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 ついでにグイッと伸ばされた手で、服の胸元を掴まれて引き寄せられて、後頭部を押さえつけるようにされて……く、唇をっ――。 「っ、んんっ――」  ひゃーっ!  ちょっと、待って。  ちょっと待って。  私、今、唇を――塞がれてません!?  彼は私の唇を塞いだまま――そればかりか、わ、割とこう、しつこくないですか!?  そのままたっぷり20秒近く。  息つぎ、どうしたらいい系ですかっ。  しゅ、シュノーケル持ってきてくださいっ。  とか思っていたら、ようやく唇を離してもらえて……途端、私はヘナヘナと机の上に突っ伏してしまった。  か、身体に力が入らないっ。  ……多分酸欠でっ。  断じて気持ちよくて、とかそういうのでは……ない!と……思い、たいっ。  思わず顔を伏せてしまったものの、今度は恥ずかしくて前が向けなくなってしまった。  お吸い物、冷めちゃう……。  いや、待って。何で今それ?ってことを思いながら、そのままの状態であれこれ考えてみた。  えっと、今のって――どんなに客観的に見積もっても、キス、で合ってます、よ、ね?  そ、それもっ、ディ、DEEP(ディープ)な方っ。  頭が混乱するあまり、苦手なはずの英単語が脳裏をよぎってこれはいよいよ良くないぞ、とか思ってしまう。  あ、私、同じ文学部でも英米語学科の学生さんのこと、かなり尊敬していますっ!  って今はそんなことはどうでもよくてっ。
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