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唇にご飯粒とかついてたから取ってくれました、とか、だったりし、ます?
恐る恐る顔を上げて御神本さんのお顔を窺い見たら……。
「例え花々里本人でも、俺の妻になる女のことを私なんかと卑下することを、俺は認めん」
ってそれと今の行動とどういう関係があるのですか、御神本さんっ。
そんな怖い顔して見つめられても私、誤魔化されませんからね!?
「私っ、ファーストキスだったんですけどっ」
何だか悔しくて涙目でつぶやいたら、「大いに結構じゃないか。夫が初めての相手とか。初々しい感じがして俺的には最高のシチュエーションだぞ?」
とか。
だからそうじゃなくて――!
〝俺的には〟っていうのも気に入らないですけど、百歩譲ってソコは目をつぶったとしても、です。
「う、なぎ……」
ボソリと恨みがましくつぶやいたら、さすがにどういう意味だか分からなかったらしくて、御神本さんが押し黙る。
「うなぎの……味がしました……」
小さくポツンと。
「わ、私のファーストキス、うなぎの味だったんですよぅっ!」
それが大問題なのですっ!
いくら大好きでも初めてのキスの思い出がうなぎと直結は悲しすぎる。
「理想は桃の香りとかレモンの香りだったのにぃーっ!」
乙女の夢を返せぇーーーっ!
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