17.お兄ちゃん気質のあの人

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 昨夜も頼綱(よりつな)と一緒の部屋で寝る寝ないの攻防戦があって……。  私は昨日も何とかっ! ()()うの(てい)でお引き取り頂いたの。 「あのっ、私たち、結婚してるわけでも……ましてやお付き合いしているわけでもないのでっ」  ――婚姻届(例のもの)も保留してますよね⁉︎  付け加えるようにそう言ったら、案外すんなり引き下がってくれて。 「そうか。花々里(かがり)は順番を重んじるタイプなんだね。承知した。俺も筋を通すようしよう」  どこか清々(すがすが)しいぐらいの引き際の良さにホッとしたのも束の間、告げられた言葉にちょっぴりソワソワ。  これできっと主従関係にある限りは添い寝を迫られることはなくなる、んだと……思う。  思うけれど、「なるべく」「配慮しよう」というのが気になるところ。  頼綱って、何を考えているのか読めないところがあるから。気を抜いていたら斜め上からの攻撃がありそうで怖い。  昨夜のやり取りのせいで、せっかく寛道(ひろみち)が頑張ってくれた健闘も虚しく、お母さんのサインをあっさり取り付けてきたりしそうな気さえして。  お母さん、流されやすいもんなぁ。  美味しいものとかちらつかされたら特に危険!  そんなこんなを思っていたら、ないって言い切れないところが怖くなる。  頼綱って、いわゆるヤンデレなんじゃない?と思うことが多々あるから油断できない。  そこでふと、昨日の怒涛(どとう)の着信履歴を思い出してゾクリとする。
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